ゲルリッツの誕生秘話
01.操作ラクラク!短時間消臭!軽量オゾン脱臭機
ホテルや旅館に宿泊した時、レンタカーやタクシーに乗った時、「臭い」と思ったことはありますでしょうか?
それは煙草のにおいだったり、飲食物のにおいだったりと、においの質は様々ですが、不快であれば、その施設、設備を利用する人は、不快な感情を持ち、時に臭気クレームとして声を上げます。しかし、当時はこのようなにおいの問題が発生した際、対策方法として窓を開けて換気する、清掃を行って少しでもにおいを軽減するといった方法しか無く、宿泊施設などでは、貸し止めが発生し、利益にも影響が出てしまうこともありました。
その中で、ニーズとして生まれたのがオゾンを用いて、短時間で消臭、脱臭を行う方法でした。自然界にも存在するオゾンには、臭気を分解する酸化分解作用やカビ、菌などを除菌する効果があり、そのオゾンを人工的に発生させて臭気を分解します。
当時、工場などの産業施設では既に利用されていたオゾンをもっと手軽に使用できないかと、オゾン発生機を取り扱うメーカー各社は開発を行い、ポータブル用のオゾン発生機が市場に生まれました。しかし、ただオゾンを発生させるだけでにおいが取れる訳ではありません。必要とされるオゾン濃度、反応する時間、これらの条件を整えていかなければ、高い効果は生まれません。
当社、カルモアでも約20年前から、宿泊施設や車両取り扱い業界に向けて、オゾン発生機を提供してきました。しかし、発売当時、機器開発能力に限界があり、オゾン発生量を上げるとどうしても機器が大きく、重くなり、使用勝手が悪くなるといった事が起きていました。その中で当社では「KALMOR-200」、「GoerlitzR/S」などの機器を販売し、幾度かのモデルチェンジを行いながら、少しずつ小型、軽量化を進めて来たことで、多くお客様にご利用頂けるようになってきました。
02.宿泊業界の新たな厄介モノとは…
一方で、近年ではインバウンドにおける需要が発生し、宿泊施設などはバブル時期以上の活況を迎えております。それに伴い、外国人の施設利用が増える事で、新たな香害を発生させる問題が出てきました。
その代表的なものとして、香料(香水、アロマ)、香辛料などがあります。
においの分野から見ると、これらのにおいは低濃度でも感知しやすい臭気成分で構成されていること、分子結合が強い為、分解に時間がかかることが特徴としてあります。その為一度においが染み込んでしまうと従来使用してきたオゾン発生機の濃度では、お客様が求める短時間で高い脱臭効果を達成する事が難しくなってきました。
さらに少子高齢化により宿泊施設などで働くルームキーパーの方など労働年齢が高くなる事で、より一層の小型化、軽量化も求められることとなってきました。この矛盾点をクリア出来るオゾン発生機があれば、そのニーズに応えることが出来ます。
03.新型ゲルリッツ開発までの苦悩とは…
そういった想いから、2017年カルモアは全てを一から見直し、新製品のゲルリッツ「Goerltz(G-zero)」開発に踏み切りました。
◆開発重要ポイント
開発当時、大容量オゾン濃度を達成しながらの軽量、小型化という難題をどうクリアするかが一つの焦点となりました。
多くの検討、試行錯誤を行い、開発を進めましたが、結果として今までの方式、製造方法では出来ないと言う結論になりました。 その為、過去の縛りを全て無くし、一からオゾンの発生方法、拡散による濃度上昇等、放電技術、流体力学等様々な観点から、「どうしたら対象となる空間で高い濃度を短時間で作り上げられるか?」をまず念頭において、以下の3つの検証ポイント意識しながら開発を進めてきました。
検証施策01放電板方式での検討
これにより、まず放電方式を今までのロータスジェネレーターから、原料となる酸素との接触を高められる放電板方式で検討しました。
当時この放電板方式は静電気除去を目的として使用されておりましたが、これを応用する事で、大量のオゾン生成を可能にできるのではないかと考えました。
しかし、そこで課題となったのが、その放電板に電気エネルギーを送る変圧器が汎用品では出来ないという事実でした。その課題をクリアする為に、10回以上の試作を繰り返し、その課題を突破する事が出来、従来機の3倍のオゾン発生が可能になりました。
検証施策02オゾンをより早く、遠くに飛ばすには…
次に、生成したオゾンをより早く、遠くに飛ばす為の検討を行いました。脱臭でオゾンを使用する際、ただ、オゾンを対象室内に放出するだけでは限界があります。接触時間、接触効率等をしっかりと検証する必要があります。
また、オゾンは空気より重い為、空気の動きが弱いと空間の下部だけオゾン濃度が上がり、万遍なくオゾンを行き渡らせる事が出来ません。その為、流体力学の視点を持って、どうしたらいち早くオゾンを室内に拡散させ、濃度を一定に保てるかを検証し、結果、従来機より2倍近いスピードでのオゾンの拡散、濃度上昇に成功しました。
検証施策03能力を維持しつつ小型、軽量化を実現するには…
これらの検討により、オゾン量については求められているニーズに応えられる事となった為、その能力を維持したまま、同時に求められていた小型、軽量化に取り組みました。
材料、形状、製造方法、使用勝手を一から見直し、それを何度も組み上げ、また修正を繰り返しました。試作機だけでも10台以上製作し、実際使用しながら改善点を見つけ出していき、同時に人が持つ以上、落下など考えられるミスによる故障を少しでも軽減出来るように、落下テスト、耐久テストなども行い、従来機より大幅な小型化、軽量化に成功しました。
04.私達の想いとは…
一開発を始めて3年、様々な課題とぶつかりながら一つずつクリアをして、ついに新しいGoerltz(G-zero)を製品化する事に成功しました。
オゾン発生量、重量、サイズ、全てにおいて、従来機を遙かに超えるスペックとなり、より使い勝手の良い製品となり、2019年4月正式に販売を開始する事が出来ました。
しかし、これで当社、カルモアの製品開発への想いは終了ではありません。
この苦労が次の時代の開発に繋がり、時代と共に多様化するニーズに合わせられるよう、今までのお客様だけでなく、これからのお客様に対しても、使いやすいオゾン発生機を、我々は今後も追求していきます。